事業承継に使える会社法改正の内容とは?

事業承継に使える会社法改正の内容とは?

ここ1~2年は国会で重要法案が目白押しであったため、あまり注目を浴びていませんでしたが、2014年6月20日に会社法の改正が成立しました。(施行期日は,公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日とされています)

いくつか重要な点が改正されましたが、大きく分類すると以下のようになります。
1.親子会社に関する法律の整備
これまでは子会社の責任を追及することができなかったのですが、完全親会社(100%子会社の株式を所有)の株主を保護するために、一定の要件の下で,完全親会社の株主が,その完全子会社の取締役等の責任を追及する制度が創設されました(多重代表訴訟制度)。
 ほかにも合併等の組織再編の差し止めをしやすくしたり、これまで問題があるとされた、詐害的会社分割によって害される債権者の保護が手厚くなりました。こうして会社分割により、承継会社へ今まで債権者が請求できなかったものが請求できるようになりました。このあたりは中小企業の再生の裏ワザとして活用されてきた面もある会社法の抜け道を塞ぐ改正になっています。

2.監査役の監査範囲を会計監査に限定している場合の登記
ほとんどの中小企業は、株式の譲渡制限を定めていますので、合せて監査役の監査の範囲を会計監査に限定する旨定めていることと思われます。監査役の監査の範囲を会計監査に限定する場合は、その旨を登記することが新たに義務づけられました。これは、ほとんどの中小企業にとってコストアップの要因になりそうです。

3.少数株主の権利の保護と同時に支配株主の権利の強化
 株主であれば、株主名簿はいつでも見る事を請求できますが、例外として株主名簿の閲覧の拒絶事由であった「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するものであるとき」が削除されました(125条3項、252条3項)。より、オープンな会社経営が求められるようになったということですね。
 一方で、発行済株式数の90%以上を保有する株主(これを特別支配株主とよぶ)が、他の株主に対しその保有する株式の売渡しを請求できる制度が新設されました(179条1項)。
この場合、特別支配株主は他の株主に対して全部の株式を売り渡すように請求することができます。この制度を通称『キャッシュアウト』と呼びますが、創業者一族が名義株式として、あるいは過去に従業員、友人・知人に株式対策として持たせた少数株式を強制的に買い集める方法がまた一つ増えたと言えます。この方法は、全部取得条項付種類株式を使った1/3以下の少数株式排除(スクイズ・アウト)のように特別決議を行い、手間暇と訴訟リスクを抱えながらやることに比べ、90%以上という条件はありますが、取締役会だけで決議できますし、おおよそ20日間程度で手続きが完了しますので、かなり使い勝手の良い制度ができたと考えています。
 90%以上のシェアを持つ絶対的支配のオーナー株主であっても、これまでは「特殊決議」(株主の頭数の半数以上という条件)や「株主全員の同意による決議」も存在していたため、すべての決議が通せるわけではなかったのですが、これにより、事実上100%の完全支配株主になることができるようになったわけです。その後で、後継者に渡す方法をじっくりと考えていくことで、スムーズなバトンタッチが可能になるかもしれません。

金子一徳

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