「事業承継士」支援に際して抱く疑問について

「事業承継士」支援に際して抱く疑問について

長年、事業承継に携わっていますと、いろいろなことが現場で起きます。
中でもやっかいな問題は、社長の口から発せられる次の一言です。

「私は死ぬまで現役だ。」
「仕事に一生携わっていきたい。」

この言葉を聞かされた時には、その会社の事業承継はよほど気を付けなければなりません。私は、常々セミナーでこんなお話をします。

『会社が趣味はいいです。しかし、会社がすべてはいけません』

会社がすべての社長は、会社から離れることが出来ず、結果として後継者が育たない、自由度がきかないので辞めてしまう、相続税対策ができない、会社が伸びない、といろいろな面で弊害が出てきます。中には、「健康維持のために出社するんだ」と公言して憚らない社長もおりますが、社員がいい迷惑でしょう(笑)。

こんな時に事業承継士は、上記のように考え、何が何でも引退をさせる道筋を作ろうと、しがちです。ところが、死ぬまで社長をやっててもらってもいいのではないか、という考え方が、最近私の心の中に芽生えてきました。

もちろん、どんな会社にも当てはまるわけではありませんが、従業員が数名あるいは身内だけでやっている場合には、特に問題が起きないことが多いからです。逆に、何百名もいる会社でも可能な場合があります。

死ぬまで現役だと言うなら、現場で倒れるまで働いてもらって、倒れた時には保険でカバーするような対策を取っておくという考え方もありです。それまでに株式の移転なども済ませておけば、特に問題は起きないかもしれません。

この方法は、実は極めて合理的でかつ家族関係を壊さない方法でもあります。というのも、会社がすべての社長から会社を取り上げると、今度はその皺寄せが奥様を始めとした家族へ向かってしまうことが大いにあるからです。そうすると、精神的な苦痛から、家庭崩壊になってしまい、結果的に会社も倒産へ追い込まれたというケースも実際にあるのです。

そうであるならば、無理やり会社へ来させないようにするのではなく、逆に役割を与えて、それを一生懸命にしてもらうという方法もあるはずです。特に、現場の技術者として鍛えられた社長であれば、教育という役割を与えることも出来るかもしれません。また、新しいアイデアを考えるのが好きな社長であれば、発明に没頭してもらうというのもいいかもしれません。

事業承継士は、社長の心の奥底にある本当の願望、死ぬまでにやりたいことを、先回りして言葉に出してあげ、なるべく事業承継に支障が出ないように叶えてあげるというテクニックも学ばなければならないと言えるでしょう。

金子一徳

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