株主構成50%:50%のデッドロック状態は解消できるのか?

株主構成50%:50%のデッドロック状態は解消できるのか?

たまに見かける株主構成でA氏50%、B氏50%というのがあります。
兄弟あるいは友人同士、先輩後輩で始めた会社というパターンです。こうした場合、経営が順調に行っている時は問題は起きません。しかしながら、「意見がどうやっても合わない」「袂を分かち別の道を進む」など、二人の仲が修復不可能になってくると、急にこの株主構成がネックになってくるのです。

よほど組織がしっかりしているか、数十名規模くらいの会社でないと、会社経営は株主総会や取締役会を意識せずに行っているはずです。ただし、会社法上は、普通決議という役員の選任・解任、株式分割、役員の報酬額の決定など株式の過半数をもって行うとなっています。さて、過半数とは50%以上ではありません。50%超なのです。ということは、上記の例のA氏もB氏も単独では普通決議を通すことができないのです。これは困りました…「何とか解消することはできないんでしょうか?」というご相談が最近多いのです。

これからお話するのは、あるIT企業の実例です。このIT企業の株主構成はまさに上記の例でしたB氏はA氏の経営方針について行けず、辞任を決意します。ところが株式は保有したままでした。それからというもの、A氏が株主総会の通知を出す度にすべて否決され、経営上は何も決められない状態が2年間続きました。

そこで、弊社に依頼がありました。いろいろと調べましたが、良い手が生まれません。半ばあきらめかけていたところ、よくよく定款を読み込んでみたら、次のような条文が入っていることに気が付きました。

(株式の割当てを受ける権利等の決定)
第●条 当会社の株式(自己株式の処分による株式を含む。)及び新株予約権を引き受ける者の募集において、株主に株式又は新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合には、その募集事項及び会社法第202条第1項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によって定める。

「おおっ、これだ!」とひらめき、すぐにA氏と作戦を練りました。その作戦とは…、

いきなり株主割当増資を仕掛けるというものです。この条文がない場合、株主割当増資は普通決議を要しますので、過半数の賛成がないと通りません。しかしながら、この条文があることで、株主割当増資を株主総会の決議を経ないで取締役会の決議だけで行うことが出来るようになるのです。このIT企業では、幸いなことにB氏は取締役からは外れていましたので、秘密裏に決議を行い、相手の懐具合を見計らいながら株主割当増資の通知を行うことによって、B氏に振込みできない状態にしてしまうというやや裏ワザ的な方法を取りました。

これで1/3未満まで抑え込むことに成功したA氏は、次にスクイズアウトという、強制買取り手続きに入り、すべての株式を掌握することに成功したのでした。(スクイズアウトの手法は「事業承継士講座」で詳しく教えます)

皆さんも、仲が良いからといってくれぐれも50%:50%という株主構成にはしないでくださいね。後から苦労することになりますよ。

金子一徳

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