SMAPの独立騒動から学ぶオーナーシップと後継者対策(前編)

 SMAPの話題は皆さんもマスコミやネットで散々話題になっていましたので、今更と思われるかもしれません。

 しかし、あの騒動を“事業承継”という観点から見てみると違った側面が見えてきます。

 ご存知の通りジャーニー喜多川氏は日本に男性アイドルという新ジャンルを作った草分け的な存在です。昭和6年生まれですから御年82歳ですが、生涯現役を宣言してジャニーズ事務所を引っ張ってきました。事務所には彼の姉にあたるメリー喜多川副社長(89歳)とその娘のジュリー景子氏も関わっています。

 さて、後継者は誰になるのか、ということで過去にも近藤雅彦氏や東山紀之氏が上がったこともありましたが、様々な事情から脱落していき、最近、急浮上したのが、SMAPをプロデュースした飯島三智氏だったのです。同氏は、「金スマ」「うたばん」「火曜曲」などのヒット番組の企画にも携わり、辣腕を発揮していました。

 ここからは想像の域を脱しませんが、メリー喜多川副社長がジュリー景子氏を後継者にするために、飯島三智氏の存在がいろいろな意味で疎ましく思ってきたのではないでしょうか。そして、「喜多川一族のいうことを聞けないのなら、SMAPを引き連れて出ていけ」と言ったと仮定すると、これまでの飯島三智氏はクーデターを仕掛けた人物で木村拓哉氏は筋を通した男、それ以外の4人は裏切り者という図式から一変することになります…。

 これは世間一般の事業承継でもよく起きることです。経営者の口から出てくる「うちには後継者候補が見当たらない。」というのは、実は能力のある飯島三智氏のような存在を知らないうちに潰してきてしまった結果なのかもしれません。なぜなら誤解を恐れずに言いますと、経営者は自分より能力のある者を育てていくことが苦手だと考えるからです。自分の能力の衰えに気が付く、後継者候補が力を付けてきた、そう思ったら、そこが引きどころなのかもしれません。日本の企業は特に社長交代の年齢が遅いと言われております。その結果、社長の平均年齢も年々上昇しています。

 「あんなお家騒動をして恥ずかしい。SMAPがなくならなくて良かった。」と考える前に、自社に置き換えてみてはどうでしょう?SMAPのような重要な幹部を失わないように、後継者選びは、自分のことではなく、会社のことを考えて選ぶべきだということを忘れないようにしましょう。そして、同族で事業承継が出来なかったとしても、オーナーシップを保つ方法はありますし、金銭で対価を取るという方法もあります。資本と経営の分離が今後の日本の中小企業にも浸透していくことを強く望みます。

 次回は、経営権と財産権を分離して、どのようにすればオーナーシップを保つことが出来るのか、具体的な方法に踏み込んで解説したいと思います。

 こうした方法は法律や税法など、多岐にわたる分野での知識・知見が必要になってきますが、事業承継士資格取得講座では具体的な事例を交えて、分かり易くお伝えしています。

金子 一徳

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