遺言を確実に実現させる裏技

 遺言は満15歳になれば単独ですることができます。つまり早ければ中学生で遺言ってできるんですね。中学生の遺言ってどんなんだ?と思いますが、法律上はそういうことなんです。


 ところで意外と知られていませんが、遺言ってそんなに効力強いの?という疑問があります。つまり、遺留分(注)を侵害する部分にまで踏み込んだ遺言をしても、侵害された相続人から不満が出て、下手すると裁判沙汰へ発展するのではないか?という危惧です。(注:遺留分とは、例えば被相続人の妻と子一人が相続人の場合、法定相続分としては、それぞれ1/2ずつ持っているわけですが、その半分の1/4を指します。つまり、遺言において「財産のすべてを妻に相続させる」としても、子供から「1/4は僕のものだ!」と言われれば、それを認めざるを得ない、という権利です)

 しかし、これはよく考えてみると、遺言を遺さない場合よりは少なくとも故人の意思は尊重されるわけですし、自分の気持ちや想いを詰めて遺言にしたためれば、もめないことだってあります。

 相続人が相続する分は次の順序で決まります。

  1. 遺言
  2. 遺産分割協議(遺言がなかった場合に相続人全員の合意で決定する)
  3. 法定相続分(遺言がなく、遺産分割協議もしなかった場合)

 

 ところが、ここも知らない人が多いのですが、『①遺言』があるにも関わらず遺言と異なる『②遺産分割協議』が優先される場合があります。それは、相続人全員の同意があった場合なのです(民法907条)。

 これでは故人の意思が反映されず浮かばれない、と思わるでしょう。私もそう思います。

 ですから、本当に故人が自分の意思を反映させようと思うならば、絶対的対立者である者へ財産を相続させるような遺言をするという方法があります。つまり、相続人以外の第三者をあえていれることにより、ある程度自分の思った通りの相続の配分を実現させるということです。

 妻と兄弟3人が相続人で、亡くなった父親の財産は現金以外はすべて自社株式。会社の後継者が3男であり、他の兄弟は全く経営にタッチしておらず、それどころか仲が悪かった場合、遺言がなければ妻1/2、兄弟がそれぞれ1/6ずつを相続することになり、会社経営は3男の思った通りにいくはずもありません。

 こんな時、単純に「自社株式を3男に相続させる」という遺言があったとしても、他の兄弟や妻まで巻き込んで大反対、非難され「やはりみんなで平等に相続しよう」と説得されてしまうということはよくあることです。

 これを防ぐために、どうするか。そうです、第三者に財産をあえて遺言して遺すという方法があります。この第三者は友人知人やお世話になった方でもいいのですが、相続人に説得されてしまうような立場にいない方がいいことはおわかりかと思います。

 そうすると、社長の“愛人”やあるいは“愛人の子供”などがいれば、財産を相続させる旨の遺言書を書くという方法があります。上記の例でいえば、現金をすべて愛人へ相続させ、自社株式を3男へ相続させるという内容の遺言にするのです。

 そうすれば、遺留分の請求はあるでしょうが、過半数の株式は保有することができますので、経営権の確保をすることができます。その際に、なぜそういう財産の配分にしたのか、という想いは、付言という形で語ることも忘れてはなりません。

 

金子 一徳

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