養子縁組制度と相続

 

養子縁組という制度は、最近はあまり聞かなくなりましたが、資産家の間では、相続税を軽減させる効果がある、ということでよく知られています。

養子になると、その縁組の日から養親(新たに親になる者)およびその家族との間に血族関係が生じますが、実親との親子関係が消滅する訳ではなく、法律的にも実親との間には相続関係が残ります。そして、親権、扶養、相続について実子と同等の権利義務が生じます。

つまり、養子は養親が死亡した時に法定相続人になるだけでなく、実親が死亡した時にも法定相続人になるわけです。
(おいしいとこ取りができるというわけですね(笑))

逆もしかりで、子供が先に死亡し、親が法定相続人となる場合、養親、実親ともに法定相続人になり、その法定相続分の割合は実親・養親に差は有りません(こちらもおいしい?(笑))。

これまで説明した養子縁組は、いわゆる普通養子縁組という制度です。

もう一つ特別養子縁組と呼ばれるものがあり、こちらはあまり見られません。

というのも特別養子縁組は、夫婦共に20歳以上でどちらか一方は25歳以上でなければならない、養子となる者は6歳未満でないといけない、実親の同意が必要とか、いくつかの要件を満たさなければならず、また家庭裁判所の審判を経なければならないというようにかなり厳格になっているからです。

そして、相続における普通養子縁組との最大の違いは、実親との親族関係が終了してしまいますので、法律上は赤の他人となり、当然ながら互いに相続人になることはありませんし、代襲相続も起きないという点です。

では、質問です。

養子(子がいる)が養親より先に死亡した場合、代襲相続はどのようになるのでしょうか?

答え

養子の子の出生(または養子と養子の子の間の養子縁組)が養子縁組の先か後で答えが異なります。養子縁組前の子供は代襲相続人になりませんが、養子縁組の後にできた子は代襲相続人つまり養親の孫として相続するわけです。

なかなか複雑ですね(笑)。

(Writer:金子一徳)