養子縁組制度と相続税

 

養子は相続税上ではどのように取り扱われるのでしょうか?

養子は一人までしか認められないとよく勘違いされている方がいます。
これは正確に言いますと、相続税を計算するときの基礎控除と生命保険金/死亡退職金の非課税枠の算定上に加算することができるというだけの制限であり、民法上では養子を何人持ってもいいわけです。
ですから、遺産分割協議には、養子は何人いても実子として参加できるのです。

では、相続税を計算する時にどのように取り扱うかを見てみましょう。

実は相続税を計算する時には養子がいると節税することができるのです。

なぜなら、<基礎控除算定上の法定相続人の数に養子を追加することができる>からです。
ただし、やみくもに養子を追加してしまっては、養子を5人とか10人とかする人が出てきてしまうかもしれないので、追加することが出来る人数を次のように制限しています。

1)被相続人に実子がいる場合は、養子が何人いても1人(つまり最大1人)

2)被相続人に実子がいない場合は、養子が2人以上でも2人(つまり最大2人)

※ただし、A)特別養子縁組をした養子、B)連れ子の養子、C)養子が相続開始前に死亡または相続権を失ったことにより、その養子の代襲相続人になった子、は1)と2)の例外になります。

それから、節税を目的とした養子縁組を行った場合には、税務署から祖税回避行為とみなされ、養子を除外して計算させられる可能性がありますので注意が必要です。
この場合、「将来お墓を守ることになる孫を養子にして自分の遺産を遺したい」とか「自分を介護してくれた嫁を養子にして遺産を遺してあげたい」という理由づけをきちんとしておくことです。

孫を養子縁組した場合はどうなるかといえば、相続税の課税を1回飛ばすことが出来てしまいますので、これを制限するために、養子が被相続人の孫やひ孫である場合には、その孫やひ孫には相続税の2割加算の適用があります。
(ただし、その孫養子が代襲相続人にも該当する場合は、この適用はない)

<相続税を計算するときの基礎控除>

具体的に計算をしてみましょう。相続税を計算するにあたり課税遺産総額を計算する時に、相続等により取得した財産にみなし財産を加え、借金や葬式費用を引いたものから基礎控除をマイナスするわけですが、この時の基礎控除の計算は下記になります。(詳しい計算は省略)

『基礎控除額=3,000万円+600万円×(※1)法定相続人の数』

<生命保険金/死亡退職金の非課税枠>

生命保険金を相続人が受けとった場合の非課税限度額は、

『500万円×(※)法定相続人の数』

となっており、この(※)法定相続人の数に養子を加算することができます。
上記の例でいえば子2人に養子1人を加算して1,500万円までの生命保険金であれば無税となります。(詳しくは“保険”をご覧ください)

同じように死亡退職金についても生命保険金と同様に次の非課税限度額があります。

『500万円×(※)法定相続人の数』

となっており、この(※)法定相続人の数に養子を加算することができます。

上記の例でいえば子2人に養子1人を加算して1,500万円までの死亡退職金であれば無税となります。
ただし、相続税の対象になる退職金は、死亡後3年以内に支給の確定したものに限られます。
取締役の場合は、退職金の支給について株主総会などの決議を必要とするため、なかなか決まらないことがあり、3年を過ぎてから支給が決まった場合は、相続人の一時所得として課税されてしまいますので、ほとんどのケースで税金が増えてしまいますので注意してください。

上記の生命保険金および死亡退職金は共に『みなし相続財産』とよばれ、民法上は亡くなった人の財産ではなく、死亡によって契約上受取人に指定された者が受取った財産になります。
よって、遺産分割の対象とはなりません。
あくまで、相続税を課す時に、相続財産とみなして計算するということなのです。

(Writer:金子一徳)

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