事業承継統計データから読み解く数値と実態の乖離

廃業予定企業に理由を聞いたところ、28.6%が「後継者難」と回答しています。また、日本経済新聞は、2025年にリタイア適齢期を迎える中小経営者の約245万人のうち約半数にあたる127万人が後継者が決まっていないと報じています。

さて、このデータは正しいのでしょうか?という疑問を投げかけてみましょう。

そうすると、日本人の平均年齢がそもそも上がっているからではないか?という疑問がまず浮かびます。そして、少子高齢化になりますと、若い働き手が減るわけですから、必然的に後継者も減っていくわけです。つまり、これは人口源とそれに伴う少子高齢化がもたらす一面がデータになっていることがわかります。

実際、弊社が訪問相談を行うと、「後継者不在」と回答していながら、よくよく聞いてみると「後継者としては物足りない、能力が不足している」「後継者として本人に意向を聞いたことがないので、多分やらないと思う」といった主観や推論で回答しているケースが多いのです。そこで、「誰か一人に絞ってもらって、後継者塾で鍛えてみましょう!」という提案を行い、後継者に仕立て上げるという役割が重要になってくるのです。弊社では、『後継者塾』を全国18か所で実施し、これまで600人以上の卒塾生を輩出し、後継者難に一役買っている。

「後継者あり」の企業111,860社に聞いた後継者の属性を分析すると、同族承継が減少傾向にあることは事実です。この理由は諸説ありますが、「情報がネットから簡単に入手出来るようになって、職業選択の幅が広がった」「かつてのように、子供は親の創業した会社を継ぐのが当たり前という時代が終わった」と言われていますが、弊社では、『企業経営の苦しい面ばかりが子供に伝わっており、社長が楽しそうにしていない』というのが関係していると考えています。
かつての高度成長時代のように親が子供に継ぐのが当たり前という時代は終わりを告げています。親が子供に対して遠慮し、「子供には子供の夢やなりたい職業がある。それを自分の会社を継げとは強制できない。」という良く言えば子供の自主性を重んじていますし、悪く言えば子供に遠慮がちで他人行儀でもあるわけです。「お子様に継がせる気が少しでもあるなら、本気で口説いてみてはどうか?」とぜひ背中を押してもらいたいものです。

(Writer:金子 一徳)