経営承継円滑化法の特例措置は2027年で本当に終るのか??

さて、令和8年も折り返し地点に来て、これまで上半期では令和8年度の改正した制度・法律についてメルマガを配信してきました。
① 公益信託法の全面改正(2026年4月施行)
② 不動産小口化商品の相続税評価見直し(2027年1月施行)
③ 貸付用不動産の相続税評価見直し(2027年1月施行)
④ 経営承継円滑化法の特例措置の申請期限が延長(2026年3月末⇒2027年9月末)

特に、いま注目を浴びているのが、④に関するのですが、「経営承継円滑化法の全面改正」です。特に今回④にある特例措置は時限的に2027年12月末を持って終了するはずでしたが、度重なる特例承継計画の申請期限の延期により、「特例措置そのものを恒久化するのではないか?」という憶測が我々業界の中にも流れています。

しかしながら、政府はこの点に関して、「特例措置を恒久化する」とは、現在、一切表明していません。一方で、令和8年度税制改正大綱には、「適用期限到来後のあり方について、多角的な検討を行い、令和9年度税制改正において結論を得る」と明記されました。つまり、令和9年度税制改正が、ポスト事業承継税制の方向性を決める大きな転換点になりそうです。

興味深いのは、中小企業庁の研究会資料では、「税制だけでは事業承継は進まない」という認識が色濃く示されていることです(「今更なにを言うか!」と思わず突っ込んでしまいそうですが、気が付いただけマシだと考えを改めました(笑))。検討資料では、後継者育成・経営改善・M&A・親族内承継・従業員承継を一体的に支援する方向性が繰り返し示されており、「単なる相続税対策」から「企業を次世代へ引き継ぐ政策」へ重点を移そうとする姿勢が読み取れます。

実際、多くの企業では、
・後継者は決まっているが育っていない
・株式の問題より経営の引継ぎが難しい
・親族内承継だけでなく従業員承継やM&Aも増えている
・承継後の経営改善が十分でない
といった課題が多く見られます。
 よって、制度改正を様子見するとか、早く活用しようと焦るのではなく、事業承継計画を立てて、着々と進める。そしてその時に最適な制度があれば活用する、という心構えで臨むのが王道なのです。なぜなら、後継者の育成には3~5年はかかりますし、自社株対策も、組織再編も、経営理念の承継も、一朝一夕には進まないからです。

2027年は経営承継円滑化法の特例措置の区切りであると同時に、日本の事業承継政策が新しいステージへ進む転換点になるのかもしれません。今後、公表される令和9年度税制改正の議論にも、ぜひ注目していただきたいと思います。

*Writer:金子 一徳*