計画書における数値目標の決め方とは

かつて、後継者塾の受講生の方から質問をされたことがあります。

「過去の数字はわかっても、未来の数字はわからない。誰にも読めない。では、どのような数字を目標に掲げるべきなのか?自社の仕事を表面的にしかわからない金融機関などは、経営者でも読めない数字を信用するのか?」

というものでした。確かに疑問に思うのは当然と思います。

未来の数字が読めれば、経営者は迷うことはないし、倒産する会社なんて出てきません。結局誰にも未来はわからないのです。それでは、目標数値を掲げることは無意味なのかという疑問がわきますが、当然そうではない訳です。

私は数字というものは、経営者の意思の表れだと思っています。会社のあるべき姿に近づくための、チャレンジングな目標です。極論を言えば、意思を示すために根拠などいりません。「鉛筆なめなめ」という表現がありますが、最初はそれで構わないのです。経営者の意思の表れなのですから、必要なのは「こうありたい」という強い願望です。

しかし、強い願望だけで絶対に目標に到達できません。数字を達成するためには、手段をだすこと、その質と量にこだわることが必要です。1億円の目標を掲げたら、2-3億円分にふさわしい質と量の手段を出すのです。その手段への熱意とやる気、迫力が、自らをさらに奮い立たせ、社員を動かし、実効性を高めます。また、金融機関を納得させます。少々精神論に聞こえてしまうかもしれませんが、実際に手段を出す過程においては、とてもロジカルな思考が求められます。熱い目標を果たすために、冷静に手段を考える、と言った感じでしょうか。

まとめますと事業計画書において、「目標数値は経営者の意思の表れ」「最初は鉛筆なめなめで構わない。こうありたいという願望だから。」「要は手段を出せるか出せないか、が事業計画の実行性を決める」ということなのだと、私は考えます。

(Writer:東條 裕一)