儲けにこだわるイノベーション INO塾が始まる

いよいよ9月より、イノベーションを生み出すための塾、INO塾が始まります。

事業承継士や中小企業診断士の仕事をしていると、イノベーションという言葉はよく耳にします。しかし、ぼやっとしていて、何だかわからないものだと思う方が大半なのではないでしょうか。

今回、INO塾を開発するにあたり、プロジェクトメンバーの最初に議論したことは「イノベーションとは何か」でした。モノの本には、「プロセスイノベーション」「プロダクトイノベーション」「マーケティングイノベーション」など6つの類型があるようで、単に製品をリニューアルしたり、作り方や売り方の工夫をしたりしただけでは、イノベーションとは言わないという説もあります。

私たちの業界で大流行の「事業再構築補助金」なども、企業にイノベーションを求めており、今までとは違う大胆なリストラクチャリング、チャレンジを、国が要求している印象を受けました。申請に通るために、かなりリスキーな内容となってしまい、承認は得たものの、着手することを断念した企業もあると聞いています。

 

経営者の観点から、イノベーションの必要性を考えてみます。

昨今よく目にするのは、貸借対照表(BS)の内容が素晴らしく、損益計算書(PL)が今一歩という会社です。BSが素晴らしいのは今まで稼いできた、良い時代を経験してきたということであり、PLが今一歩というのは、現在は稼げなくなってきたということを示しています。

また、良い時代を経験してきたことが成功体験として根付き、変化を避けて現状を維持しようとするメカニズムが働きます。それが経営者だけでなく組織に蔓延してしまい、いつのまにか利益がジリジリ下がっていくことにも鈍感になっています。

これは、会社の衰退を意味し、放っておくとBSもボロボロになっていき、最後は市場からの退出を余儀なくされてしまうという前兆と言えます。

だから、イノベーションが必要なのです。ここから言えることは、結局は儲けるための方法論として、イノベーションが重要であり、イノベーションが求めるもの、評価されるものは、売上や利益という数字だということです。

 

話を戻します。INO塾の開発において、「イノベーションとは何か」を議論したとき、以下の結論に行き着きました。どれだけ大胆なチャレンジであっても、画期的なビジネスモデルの変更であっても、儲けの目論見がなければ、あるいは小規模な目論見しか描けなければ、それはイノベーションとは言えないと。

逆に、巷のイノベーションの定義に当たらないような、ちょっとした改善や改良であったとしても、それが会社の儲けに大きく貢献するなら、INO塾ではイノベーションと定義することにしました。額で言うと、5年以内に20%の売上増、利益増に貢献するようなものであれば、大きなチャレンジだろうと、小さなチャレンジだろうと形を問わず、それはイノベーションであるとしました。

経営において常に意識すべきことのひとつに、「目的と手段」という考え方があります。手段は目的を達成するためのものであり、手段を目的としてはならなりません。INO塾に置き換えれば、「イノベーションは儲けるための手段であって、イノベーション自体を目的にしてはならない」ということをしっかりと伝えなければならないと思っています。

9月3日より、儲けるためのイノベーション、かっこいい体裁より泥臭くても実をとることを学ぶINO塾が、いよいよ始まります。

(Writer:東條 裕一)