遺言書の作成について考えてみませんか?

先日、2022年(令和4年)公正証書遺言の作成件数が全国で11万1977件との発表がありました。

【公正証書遺言の直近5年間の推移】
平成30年 11万0471件
令和元年 11万3137件
令和2年  9万7700件
令和3年 10万6028件
令和4年 11万1977件(今回発表)

新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年に一時的減少はあったものの、公正証書遺言の作成件数は増加傾向にあります。
令和4年はコロナ禍前の水準に戻り、今後も公正証書遺言の作成件数は増加傾向で推移するものと考えられます。

一方で令和2年7月10日からはじまった自筆証書遺言の保管の件数は、
令和2年7月10日~令和3年3月31日 16,655件
令和3年4月 1日~令和4年3月31日 16,954件

民法大改正によって自筆証書遺言作成のハードルが下がりました。
しかし、思ったより件数が増えておらず、まだまだ周知されていないことがわかります。

今回は、遺言書の作成が特に必要と考えられるケースについてご紹介します。

①夫婦の間に子がいない

夫婦の間に子がおらず、長年連れ添った妻に財産を全部相続させたい場合は、遺言をしておくことが必要です。兄弟には遺留分がありませんから、(両親共に亡くなっているという前提で)遺言を残しておけば、財産を全て妻に残すことができます。

②再婚し、先妻の子と後妻がいる

先妻との間の子は、婚姻関係にある時に生まれた場合は、相続権があります(先妻には相続権はありません)。先妻の子と後妻との間では、感情的になりやすく遺産争いが起こる可能性が高いと思われます。争いを防ぐため、遺言できちんと定めておく必要性が高いといえます。

③長男の嫁に財産を分けてあげたい場合

長男死亡後、その妻が亡き夫の親の世話をしているような場合、その嫁にも財産を残してあげたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。遺言で息子の嫁に財産を遺贈する旨を定めておかないと、その方は相続権がないので、何ももらえないことになってしまいます。養子に入れておけばさらに手厚く遺すことが可能です。

④内縁の妻がいる

長年夫婦として連れ添ってきても、婚姻届けを出していない場合には、相続権がありません。財産を残してあげたい場合には、必ず遺言を残しておかなければなりません。

⑤個人で事業を営んでいる場合

事業に係る財産が遺産分割の対象になってしまうため、事業の継続が困難になるおそれがあります。家業を特定の者に承継させたい場合には、その旨の遺言が必要です。

⑥会社を経営をしており、財産の大半が会社につぎ込まれている場合

子のうちの一人が後継者となる場合、どうしても自社株式や会社で使用している不動産など、偏って相続させざるを得ないこともあります。
経営が安定して継続するように、後継者に集中して相続させるためには、やはり遺言が必要となります。時には後継者以外の子の遺留分を侵害した遺言を書かざるを得ない場合もあるでしょう。

⑦相続人が全くいない

相続人がいない場合、遺産は国庫に帰属します。特別お世話になった方に遺贈したい、社会福祉関係の団体や教会などに寄付をしたい、と思われる場合には、その旨の遺言を残しましょう。

 

遺言書は、遺留分への配慮が欠かせません。
同時に、感情の問題、伝え方や想いの共有の仕方といった配慮が非常に重要です。

作成にあたってご自身の考え方を伝えること、家族でよく話しあっておくこと、遺言書の「付言事項」でご自分の思いを落とし込むことなど、ありとあらゆる方法の検討が必要です。

どの方法が望ましいのか、あわせて考えないといけないことは何か。
そして何より、自分の気持ちや願望と、現実問題にどう折り合いをつけるか。

これは単純に法律家に相談すれば解決するものではなく、相続・事業承継の専門家から多面的なアドバイスを聞いてみるべきでしょう。

わたしたち事業承継士は、
お客様の方の気持ちに寄り添い、幅広い視点からお客様だけの最適な方法を、お客様と一緒に見つけてご提案します。
そしてご家族間、ご親族間のナーバスな問題をおざなりにすることなく、お客様と一緒に考えることを大切にしております。

遺言書の作成や事業の引き継ぎに関するお悩みはぜひ、私たち事業承継士にお任せください。

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Writer:吉田 晴香